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2026 年版 · 日本側で必要な手続き

日本側で必要な手続き

マレーシアに法人をつくる・移住する際に日本側で確認すべき制度を、条文と公式資料に基づいて整理しました。居住者判定・国外転出時課税・外国子会社合算税制・外為法の報告・国外財産調書・CRS・年金の手続きを解説します。

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マレーシアに法人をつくる・移住するとき、現地の手続きと同じくらい重要なのが日本側で何が起きるかです。当社は日本国内の窓口として、日本にお住まいの方・日本法人の方からご相談をお受けしています。ここでは、ご相談の前に知っておいていただきたい日本側の制度を、条文と公式資料に基づいて整理しました。

このページは制度の概要をご案内するものです。実際に適用されるかどうかは個別の事情により異なります。具体的な判断は税理士・所轄税務署にご確認ください。当社は税務代理・税務相談を行う事業者ではありません。記載は 2026-09-20 時点で確認した内容です。

日本の所得税では、居住者は「国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人」と定められています()。非居住者はそれ以外です。

よくある誤解が「183⁠日ルール」です。日本の所得税法に、滞在日数で居住者を判定する規定はありません。国税庁も次のように明示しています。

判定の基準は「生活の本拠」がどこにあるかで、住居・職業・資産の所在・親族の居住状況などの客観的事実によって判断されます(所得税基本通達2-1)。なお「国外において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること」に該当する場合は、国内に住所を有しない者と推定されます()。

183⁠日という数字は、租税条約の「短期滞在者免税」の要件として登場するもので、国内法の居住者判定とは別の話です。

一定の資産を持つ方が日本を出るとき、実際に売っていなくても含み益に課税される制度です(平成27⁠年7⁠月1⁠日以後の国外転出に適用)。

条文は「一億円未満である居住者については、適用しない」()と定めています。つまり、ちょうど1⁠億円の場合は対象になります。居住期間は逆に「五年以下である居住者については、適用しない」ため、5⁠年ちょうどは対象外です。同じ「しきい値」でも語尾によって扱いが変わります。

納税猶予を受けた場合、猶予は自動では続きません。各年の12⁠月31⁠日時点で所有している資産について「継続適用届出書」を翌年3⁠月15⁠日までに提出する必要があり、提出がないと、その期限から4⁠か月を経過する日で猶予期限が確定します。

海外子会社の所得を日本側の所得に合算して課税する制度です。法人税率の低い国に会社をつくる場合、最も影響が大きい制度です。

免除の基準となる租税負担割合のラインは2⁠本あります()。

どちらのラインで判定されるかは、まず特定外国関係会社に当たるかどうかで決まります(同条2⁠項2⁠号)。主たる事業に必要な事務所・店舗・工場などの固定施設を持たず、かつ本店所在地国で事業の管理・支配・運営を自ら行っていない会社(ペーパー・カンパニー。一定の持株会社などは除かれます)、総資産に対する受動的所得の割合が30%を超え、かつ総資産のうち有価証券・貸付金などの割合が50%を超える会社(キャッシュ・ボックス)、租税の情報交換への協力が著しく不十分として財務大臣が指定した国・地域の会社などが当たり、27%のラインで判定されます。

特定外国関係会社に当たらない会社は、次の経済活動基準の4⁠要件で分かれます(同条2⁠項3⁠号・6⁠号)。1⁠つでも満たさなければ対象外国関係会社として20%のラインで判定され、すべて満たせば部分対象外国関係会社として会社単位の合算の対象から外れます。

  • 事業基準 — 株式等・債券の保有、知的財産権の提供、船舶・航空機の貸付けを主たる事業としないこと(統括会社など、条文が定める例外があります)
  • 実体基準 — 本店所在地国に、事業に必要な事務所・店舗・工場などの固定施設を有すること
  • 管理支配基準 — 本店所在地国において、事業の管理・支配・運営を自ら行っていること
  • 非関連者基準/所在地国基準 — 業種に応じ、主に関連者以外と取引しているか、主に本店所在地国で事業を行っていること

4⁠要件をすべて満たしても、受動的所得については部分合算課税が残ります。部分合算の免除は「租税負担割合 20%以上」「部分適用対象金額が 2,000万円以下」「所得金額に占める割合が 5%以下」のいずれかに該当する場合です()。

個人が株主の場合は、持株割合等が10%以上で合算の対象となり、課税対象金額は雑所得の収入金額とみなされます()。

ラブアン法人の税率(事業活動は利益の3%、持株専業は0%)は、上記いずれのラインも下回ります。会社単位の合算を免れるには、特定外国関係会社に当たらず、経済活動基準をすべて満たす必要があります。株式等の保有を主たる事業とする会社(ラブアンの持株専業の会社など)は、統括会社などの例外に当たらない限り、事業基準を満たしません。また、マレーシア側の実体要件(現地スタッフ・年間営業支出)を満たすことと、日本側の経済活動基準を満たすことは別の判定です。どう扱われるかは事業の実態によるため、必ず税理士にご確認ください。

海外への送金や海外法人への出資には、外国為替及び外国貿易法に基づく報告義務があります。「送金の報告」と「投資の報告」は別物で、金額のしきい値も異なります。

提出期限は報告ごとに違います。投資の報告(証券の取得・対外直接投資)は、取引を行った日または支払等をした日のいずれか遅い日の翌日から起算して20⁠日以内。送金の報告は、銀行等を経由する場合は支払等をした日から10⁠日以内(書面で銀行等へ。オンラインで日本銀行へ直接出すときは20⁠日以内)、銀行等を経由しない場合は支払等をした月の翌月20⁠日までです。提出先は財務大臣あて(日本銀行経由)です。

なお事前届出が必要なのは、漁業・皮革または皮革製品の製造業・武器の製造業・武器製造関連設備の製造業・麻薬等の製造業に限られます(、)。通常の事業会社をマレーシアに設立する場合、事前届出の対象業種には当たらないのが原則です。

提出の有無は加算税にも影響します。期限内に提出し、その財産の記載があれば過少申告加算税等が5%軽減され、提出がない場合や記載がない場合は5%加重されます()。

共通報告基準(CRS)により、各国の税務当局は自国の金融機関から非居住者の金融口座情報の報告を受け、租税条約等に基づいて相互に自動交換しています。

報告される情報には、氏名・住所・居住地国・納税者番号に加えて、口座残高および利子・配当等の年間受取総額が含まれます。

国税庁の公表によれば、令和6⁠事務年度に日本は 101⁠か国・地域から日本居住者のCRS情報 約275⁠万件を受領しています。マレーシアは、国税庁が示すCRS情報の交換が可能な国・地域の一覧に掲載されています(令和8⁠年1⁠月1⁠日時点)。

任意加入中は、免除・納付猶予や学生納付特例の申請ができません。また一時帰国などで短期間だけ国内に住所を有した場合でも、その期間は強制加入被保険者となるため手続きが必要です(日本年金機構)。

マレーシア側の制度(法人形態・税率・実体要件・就労ビザ)は「マレーシア法人設立 完全ガイド」で解説しています。

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