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マレーシアの e-Invoice 2026 — 免除は年商 RM 300万未満。ただし日系の子会社は対象になりやすい

公開 · 最終更新 · 執筆 Bangga 編集部 · 約 12 分
マレーシアの e-Invoice 2026 — 免除は年商 RM 300万未満。ただし日系の子会社は対象になりやすい

マレーシアの e-Invoice(電子インボイス)は、免除の基準が段階的に引き上げられてきました。直近では2026⁠年8⁠月30⁠日の改定で、年商 RM 1,000,000 未満だった免除の基準が RM 3,000,000(約1.2⁠億円。2026 年 9 月 30 日の Bank Negara Malaysia の仲値 1RM ≒ 38.5 円で換算)未満になっています。

ただし、この免除には例外があります。年商 RM 300万以上の法人株主・親会社・関連会社がいる場合は、自社の売上が小さくても免除されません。日本の親会社が出資している Sdn Bhd は、ここに当たる可能性が高い条件です。

この記事は、マレーシア内国歳入庁(LHDN/IRBM)の e-Invoice Guideline(第4.8⁠版、2026⁠年8⁠月30⁠日)、e-Invoice Specific Guideline(第4.9⁠版、2026⁠年9⁠月7⁠日)、FAQ(2026年9⁠月4⁠日更新)だけを根拠にしています。

結論:3つだけ押さえる

  1. 年商 RM 300万未満は免除。ただし親会社・法人株主・関連会社の年商が RM 300万以上なら免除されない
  2. 免除されない場合、実施日は 2026⁠年7⁠月1⁠日(それ以降に開業した会社は開業日)
  3. 2026⁠年1⁠月・7⁠月に対象となった事業者は 2027⁠年12⁠月31⁠日まで猶予期間。月ごとの「まとめ請求(consolidated e-Invoice)」で足りる

e-Invoice とは

e-Invoice は、取引の内容を LHDN が決めた形式(XML または JSON)で作り、LHDN のシステム MyInvois に送って検証を受ける仕組みです。PDF や画像の請求書は e-Invoice になりません。

項目内容
送り方MyInvois Portal(ブラウザで1件ずつ・一括アップロード)か API(会計ソフトから自動送信)。併用も可
検証ほぼリアルタイム(通常2秒未満)。検証後に固有番号(Unique Identifier Number)が付く
相手への共有検証済みのデータ、または QR コード入りの見た目の請求書(PDF など)のどちらでもよい
通貨外貨建てでも発行できる
取り消し検証から 72時間以内なら取り消して再発行できる。それ以降はクレジットノート等で調整

いつから:実施スケジュール

実施日は、2022⁠年度の年商(監査済み財務諸表の売上、監査がない場合は税務申告の売上)で決まっています。

2022年度の年商実施日猶予期間
RM 1億超2024年8月1日2025年1月31日まで
RM 2,500万超〜1億2025年1月1日2025年6月30日まで
RM 500万超〜2,500万2025年7月1日2025年12月31日まで
RM 300万以上〜500万2026年1月1日2027年12月31日まで
RM 300万未満で、免除の条件を満たさない(下の3ケース)2026年7月1日2027年12月31日まで
RM 300万未満で、免除の条件を満たす免除—

2022⁠年度の年商が RM 300万未満の事業者と、2023⁠年以降に開業した事業者は、次のように決まります(FAQ 問12〜14)。

一度対象になると、あとで年商が RM 300万を下回っても免除には戻りません。

免除されない3つのケース

ガイドライン第1.6.10項は、年商 RM 300万未満でも次の場合は免除しないと定めています。

ケース例
(a) 年商 RM 300万以上の法人株主(個人以外の株主)がいる日本の親会社が出資している
(b) 年商 RM 300万以上の持株会社の子会社であるグループ会社の100%子会社
(c) 年商 RM 300万以上の関連会社・合弁会社がある兄弟会社の1社が RM 300万を超えた

関連会社かどうかは、次のように判断されます(FAQ 問103)。

日本の親会社を持つ Sdn Bhd の場合

日系企業のマレーシア子会社は、ほとんどが日本の親会社の出資を受けています。親会社の年商が RM 300万(約1.2⁠億円)以上なら、(a) か (b) に当たり、自社の売上がゼロに近くても 2026⁠年7⁠月1⁠日から対象です(2026年7⁠月以降に設立した会社は開業日から)。

ガイドラインの条文には、法人株主が国内法人か外国法人かの区別は書かれていません。FAQ の例はすべて国内の会社どうしのため、日本の親会社の扱いはマレーシアの税務代理人(Tax Agent)に確認してください。

一方、日本人の個人が100%出資している会社は、(a)〜(c) のどれにも当たらない限り、年商 RM 300万未満なら免除です。

発行のルール

発行のタイミング

原則として、いつ発行するかの決まりはありません(今の請求書と同じ運用でよい)。例外は次の4⁠つです。

取引期限
まとめ請求(consolidated e-Invoice)月末から7日以内
海外からのサービスの購入(自己請求)支払いか請求書の受領の早いほうの翌月末
海外からの物品の輸入(自己請求)通関した月の翌々月末
海外から受け取る所得(受け取った側が発行)受け取った月の翌月末

買い手が発行する「自己請求(self-billed e-Invoice)」

通常は売り手が発行しますが、次の取引は買い手が自分で発行します(Specific Guideline 第8.3⁠項)。

日系の子会社でいちばん当たりやすいのは、日本の親会社への支払いです。親会社は MyInvois を使わないため、マレーシア側が自己請求を発行します。

相手に税番号(TIN)がないとき

相手入力する番号
一般消費者(まとめ請求)EI00000000010
海外の買い手(外国人個人・外国法人)EI00000000020
海外の売り手EI00000000030
政府機関EI00000000040

猶予期間(2027年12月31日まで)

年商 RM 500万以下の区分で、2026⁠年1⁠月1⁠日または7⁠月1⁠日に実施となった事業者は、2027⁠年12⁠月31⁠日まで次の扱いが認められています(Specific Guideline 第16⁠項)。

この期間は、まとめ請求(または自己請求のまとめ発行)をしていれば、LHDN は罰則の訴追をしません。逆に言えば、まとめ請求すら出していないと猶予の対象外です。

罰則と、出し忘れたときの救済

e-Invoice を発行しないことは、所得税法 120⁠条(1)(d) の違反です。1⁠件ごとに RM 200〜20,000 の罰金、6⁠か月以下の禁錮、またはその両方の対象になります。

会計事務所に e-Invoice を任せていても、責任は会社(取締役)に残ります(FAQ 問30)。

出し忘れや誤りがあった場合は、特別自主開示プログラム(SVDP)が 2026⁠年7⁠月7⁠日から2027⁠年12⁠月31⁠日まで開かれています。このプログラムで開示した e-Invoice には、調査や罰則は行われません。ただし、開示した e-Invoice が要件を満たしていない場合や、不正・故意・過失がある場合は対象外です。

税制上の支援

支援内容対象年度
ESG 関連費用の損金算入中小企業が e-Invoice 用ソフトの開発で払ったコンサル料などを、年 RM 50,000 まで損金に算入YA2024〜2027
ICT 機器・ソフトの加速償却償却期間を3年から2年に短縮YA2024〜2027

よくある質問

年商 RM 300万未満なら、何もしなくてよいですか?

免除の条件を満たしていれば、e-Invoice を発行する必要はありません。LHDN への申請も不要です。ただし、年商 RM 300万以上の法人株主・親会社・関連会社がいる場合は免除されません(ガイドライン第1.6.10項)。

日本の親会社がいるマレーシア法人は対象ですか?

親会社の年商が RM 300万(約1.2⁠億円)以上なら、自社の年商が小さくても免除されない可能性が高いです。条文は法人株主の国籍を区別していませんが、FAQ の例は国内の会社どうしのため、税務代理人に確認してください。

すでに e-Invoice を発行していましたが、免除の対象でした。やめてよいですか?

やめてかまいません。LHDN の FAQ は、免除の条件を満たすならすぐに発行をやめてよく、申請も不要としています。任意で続けることもできます。

日本の取引先に請求するときも e-Invoice が必要ですか?

必要です。e-Invoice は国外取引にも適用されます。相手に TIN がなければ「EI00000000020」を入力し、外貨建てで発行できます。

日本の親会社に業務委託料を払うときは?

マレーシアの会社が自己請求(self-billed e-Invoice)を発行します。期限は、支払いか請求書の受領の早いほうの翌月末です。

間違えて発行した場合は?

検証から72⁠時間以内なら取り消して再発行できます。それを過ぎたら、クレジットノート・デビットノート・返金ノートの e-Invoice で調整します。

発行しないとどうなりますか?

所得税法 120⁠条(1)(d) により、1⁠件ごとに RM 200〜20,000 の罰金か6⁠か月以下の禁錮、またはその両方の対象です。2026⁠年1⁠月・7⁠月に対象となった事業者は、2027⁠年12⁠月31⁠日までまとめ請求をしていれば訴追されません。

一度対象になったら、売上が落ちても続けるのですか?

続けます。実施日が決まったあとは、年商が RM 300万を下回っても免除には戻りません(FAQ 問104)。

まとめ


出典(いずれも確認日 2026⁠年9⁠月27⁠日。2026⁠年10⁠月に、LHDN の最新版が同じ版のままで、免除の基準・例外・実施日・猶予期間・罰則・自己請求の期限が記事と一致することを再確認)

e-Invoice の基準はたびたび改定されています。対応を決める前に、LHDN の最新の案内と税務代理人の意見を確認してください。


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