この記事の内容は、どれも «案» の段階です。 施行は、財政法 (Finance Act) などの成立のあとです。2026 年 10 月 21 日更新の国会の法案の一覧では、税の措置を定める財政法案 (Finance Bill 2026) はまだ提出されていません。ビザの措置は、MDEC や入国管理局 (ESD) の発表を待つ段階です。この記事は、末尾の基準日の時点の内容です。
3 行でまとめると
- 2026 年 10 月 9 日に発表されたマレーシアの予算 2027 (Budget 2027) で、中小企業の法人税率を課税年度 2027 から 15%→14%・17%→16% に下げる案が出ています。
- DE Rantau で通算 2 年の上限に達した方への 2 年の追加 (条件つき) と、2027 年 1 月 1 日から EP Category I の配偶者が働けるようにする方針も示されました。
- ラブアン法人の税率や実体の要件は、この予算案での変更は確認できていません。
Sdn Bhd (中小企業) の法人税
今の制度: Sdn Bhd の法人税は原則 24% です。中小企業 (SME) の条件をすべて満たす会社は、課税所得の最初の RM 150,000 が 15%、RM 150,001〜600,000 が 17% です。
予算案: 課税年度 (YA) 2027 から、15% を 14% に、17% を 16% に下げる案です。
| 課税所得 | 今 (SME) | 案 (YA 2027 から) |
|---|---|---|
| 最初の RM 150,000 | 15% | 14% |
| RM 150,001〜600,000 | 17% | 16% |
| RM 600,001〜 | 24% | 24% |
気をつけたいのは、対象になる会社です。今の制度では、払込資本金 RM 250 万以下、総事業収入 RM 5,000 万以下、外資の保有率 20% 以下などの条件があります。予算案は税率を変える案で、これらの条件を変える提案は含まれていません。今の条件が変わらなければ、日本の方や日本の会社が 20% を超えて出資する Sdn Bhd は、案のとおりになっても 24% のままと考えられます。条件の書き方は、財政法案の本文が出てから確かめます。貴社が対象になるかは、財政法案の本文が出たあと、税理士にご確認ください。
サイトの税負担の試算 (中小の税率を使わない初期の条件) を案の税率で計算し直しても、Sdn Bhd とラブアン法人のどちらの負担が低いかという結論は変わりませんでした。
ほかに、会社の運営に関わる次のような案・方針もあります。
- 最低賃金を 2027 年 6 月から RM 1,700 から RM 2,000 に上げる方針 (年商 RM 5,000 万未満の中小企業は除外)
- 課税年度 2028 から、中小企業以外の会社では、銀行などを通して払った給与だけを損金にする案
この 2 つの «中小企業» の範囲 (外資の条件を含むかなど) は、予算の資料からは分かりません。命令や法案の本文で確かめます。
今の税率と SME の条件は Sdn Bhd の設立 に、税負担の比べ方は マレーシアの法人設立と税負担の試算 にまとめています。
ラブアン法人
この予算案での変更は確認できていません。 ラブアン法人の税率 (事業活動は利益の 3%、持株専業は 0%。実体の要件を満たさない年は 24%)、実体の要件 (常勤の人数・年間の運営費)、ラブアンの就労ビザ (月の収入 RM 10,000 以上) は、予算の演説と税の措置の資料で触れられていません。
一つ気をつけたいのは、配当の免税です。今は P.U.(A) 59/2025 で、課税年度 2023〜2027 に、ラブアン法人がラブアン事業の所得から払う配当が、受け取る側で免税です。予算 2027 で、この期限を延ばす発表はありませんでした。課税年度 2028 以降の扱いは未定です。
詳しくは ラブアン法人の設立 をご覧ください。
DE Rantau の保持者
今の制度: DE Rantau Nomad Pass の期間は 3〜12 か月で、1 回だけ 12 か月延ばせます。通算で最長 24 か月です (MDEC の公式 FAQ、2026 年 8 月 28 日版)。
予算案: 通算 2 年の上限に達した今の保持者に、条件つきで 2 年の追加を認める方針が示されました (予算演説の英語の訳文もマレー語の原文も «2 年»)。
まだ分からないことも多くあります。
- 対象の条件・申請の方法・始まる時期は、MDEC の発表を待つ段階です。2026 年 10 月 25 日時点でも、MDEC の FAQ は «最長 24 か月» のままです
- 新しく申請する方の期間や収入の条件、配偶者がマレーシアで働けない点は、予算で触れられていません
上限が近い方は、発表を待ちながら、ほかのパスへの切り替えもあわせて考えておくとよいでしょう。今の条件は DE Rantau ノマドビザ に、ビザの選び方は マレーシア移住ガイド にまとめています。
EP の保持者とご家族
今の制度: 2026 年 6 月 1 日からの Employment Pass の最低給与 (月の基本給) は、Category I が RM 20,000 以上、Category II が RM 10,000〜19,999、Category III が RM 5,000〜9,999 です。配偶者と 18 歳未満の子は Dependant Pass で同伴できます。ただし、配偶者が働くには、配偶者ご本人の Employment Pass の申請が要ります。
予算案: 2027 年 1 月 1 日から、Category I の EP を持つ方の配偶者で Dependant Pass を持つ方が、条件つきで働けるようにする方針が示されました。
- この方針は Category I の配偶者についてのものです。Category II・III の配偶者の扱いは、今のところ変わりません
- 条件と手続きは ESD の告示を待つ段階です。2026 年 10 月 25 日時点でも、ESD の Dependant Pass のページは «Employment Pass の申請が要る» のままです
- EP の最低給与は、予算で触れられていません
今の条件は Employment Pass の取得ガイド にまとめています。
個人の所得税 (居住者)
今の制度 (YA 2023 以降): 居住者の税率は 0〜30% の累進です。本人控除は RM 9,000 です。
予算案 (YA 2027 から): 税率の段を見直し、本人控除を RM 12,000 に上げる案です。
| 課税所得 | 今 | 案 |
|---|---|---|
| RM 0〜5,000 | 0% | 0% |
| RM 5,001〜20,000 | 1% | 1% |
| RM 20,001〜35,000 | 3% | 3% |
| RM 35,001〜50,000 | 6% | 6% |
| RM 50,001〜70,000 | 11% | 11% |
| RM 70,001〜100,000 | 19% | 18% |
| RM 100,001〜150,000 | 25% | 24% (新しい段) |
| RM 150,001〜400,000 | 25% | 25% |
| RM 400,001〜600,000 | 26% | 26% |
| RM 600,001〜1,000,000 | 28% | 28% |
| RM 1,000,001〜2,000,000 | 28% | 30% |
| RM 2,000,000 超 | 30% | 30% |
例として、年の給与から本人控除と外国人の EPF の本人負担 2% (控除の上限 RM 4,000) だけを引いて計算すると (生命保険や家族の控除は入れていません)、年の給与 RM 120,000 の方は税が年 RM 11,550 から RM 10,444 に下がり、RM 1,300,000 の方は RM 328,760 から RM 332,800 に上がります。RM 100 万を超える部分に 30% (今は 28%) がかかるため、給与がおよそ RM 110 万を超えると、案のほうが税が増える計算です。
案でも、最高の税率 30% と、非居住者の 30% 一律は変わりません。居住者になる条件 (暦年で 182 日以上の滞在など) は、予算の資料では触れられていません。ご自分の場合は、税理士にご確認ください。
今の税率の表は マレーシア移住の税金ガイド に、移住の全体は マレーシア移住ガイド にまとめています。
これからの流れ
- 財政法案の提出と下院での可決: 法人税・個人の税の案が施行されるかが決まります (施行には上院と国王の裁可も要ります)。前の年は、Finance Bill 2025 が 2025 年 11 月 18 日に第 1 読会、12 月 1 日に下院で可決でした (今年も同じ時期とは限りません)
- MDEC の発表: DE Rantau の 2 年の追加の対象と条件が分かります
- ESD の告示: EP Category I の配偶者が働くための条件が分かります
会社やビザの選び方は、料金 のページとあわせて、無料相談でもお聞きください。
よくあるご質問
中小の法人税率は、いつから下がりますか?
案では課税年度 2027 からです。財政法が成立するまでは案の段階で、2026 年 10 月 21 日更新の国会の一覧では、財政法案はまだ提出されていません。
日本の会社が 100% 出資する Sdn Bhd も、14%・16% になりますか?
今の制度では、外資が 20% を超える会社は中小の軽減税率の対象外で、24% です。予算案に、この条件を変える提案は含まれていません。
DE Rantau の 24 か月が近いのですが、延ばせますか?
上限に達した今の保持者に、条件つきで 2 年の追加を認める方針が示されました。対象・条件・時期は MDEC の発表待ちです。
EP の配偶者は、2027 年から働けますか?
方針では、2027 年 1 月 1 日から、Category I の EP を持つ方の配偶者 (Dependant Pass) が条件つきで働けるようになります。条件は ESD の告示待ちです。Category II・III の配偶者は、今のところご本人の EP の申請が要ります。
出典
- 予算演説 2027 (英語の訳文。マレー語版が優先): https://belanjawan.mof.gov.my/pdf/belanjawan2027/ucapan/bs27.pdf
- 予算演説 2027 (マレー語の原文): https://belanjawan.mof.gov.my/pdf/belanjawan2027/ucapan/ub27.pdf
- Budget 2027 Tax Measures (付録 1・2・11・14・24): https://belanjawan.mof.gov.my/pdf/belanjawan2027/ucapan/tax-measures.pdf
- Langkah Cukai (税の措置のマレー語版): https://belanjawan.mof.gov.my/pdf/belanjawan2027/ucapan/langkah-cukai.pdf
- マレーシア国会 下院の法案の一覧: https://www.parlimen.gov.my/bills-dewan-rakyat.html?uweb=dr&lang=en
- MDEC DE Rantau Pass FAQ (Version 10.0): https://www.mdec.my/api/media/file/DE-Rantau_Pass_FAQ_v10.pdf
- ESD Dependant Pass: https://esd.imi.gov.my/portal/expatriates/myxpats/key-services/employment-pass/dependant-pass/
この記事の基準日: 2026 年 10 月 25 日 (予算の資料・MDEC・ESD・国会の法案の一覧は 2026 年 10 月 25 日に確認)。制度の案内で、個別の税の判断は税理士にご確認ください。
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