出ていくときの手続きを説明する資料は多い一方で、戻ってきたときのことはあまり書かれていません。ここを先に知っておくと、出国前の組み立て方が変わることがあります。
このページは制度の概要をご案内するものです。実際に適用されるかどうかは個別の事情により異なります。具体的な判断は税理士・所轄税務署にご確認ください。当社は税務代理・税務相談を行う事業者ではありません。記載は 2026-09-20 時点で確認した内容です。
出国税を取り消せる場合があります
国外転出時課税の申告をした方が、国外転出の日から5年以内(納税猶予の期限延長の届出書を提出している場合は10年以内)に帰国した場合、その帰国の時まで引き続き所有している対象資産については、国外転出時課税の適用がなかったものとして課税の取消しができます。
ただし、帰国の日から4か月以内に更正の請求または修正申告を行う必要があります。期限を過ぎると取消しを受けられません。帰国してから調べ始めると間に合わないことがあります。
住民票・健康保険・年金
出るときに行った手続きを、戻るときに逆にたどることになります。いつ住民票を戻すかで、保険と年金の扱いが決まります。
| 住民票 | 出国時は「転出をする者はあらかじめ市町村長に届け出る」と定められています(住民基本台帳法24条)。転入届と異なり、転出には条文上「○日以内」という日数の定めはありません |
|---|---|
| 国民健康保険 | 被保険者は「都道府県の区域内に住所を有する者」と定められており(国民健康保険法5条)、住所を有すれば再び被保険者になります |
| 国民年金 | 日本国内に住所を有しなくなると強制加入被保険者ではなくなりますが、日本国籍があれば任意加入できます(国民年金法附則5条1項3号)。手続きは転出前なら市区町村窓口、転出後は最後の住所地の市区町村窓口または年金事務所です |
任意加入中は、免除・納付猶予や学生納付特例の申請ができません。また一時帰国などで短期間だけ国内に住所を有した場合でも、その期間は強制加入被保険者となるため手続きが必要です(日本年金機構)。「少しだけ戻る」つもりでも手続きが発生します。
調書の義務は12月31日で決まります
国外財産調書・財産債務調書は、いずれもその年の12月31日時点の状況で提出義務が決まります。年の途中で帰国しても、12月31日に居住者であって該当する財産を持っていれば対象です。
逆に、海外の資産を年内に整理していれば対象から外れることがあります。帰国の時期と資産の整理の順序で、翌年の手続きが変わります。
法人を畳む場合
帰国にあわせて現地の法人を清算する場合、日本側でも課税関係が生じます。残余財産の分配を受けるのか、持分を譲渡するのかで扱いが変わり、資本構成や居住者・非居住者の別によっても変わります。
畳むと決める前に、顧問税理士にご確認ください。順序を決めてから動くのと、動いてから相談するのとでは、選べる手が変わります。
外為法にもとづく報告は、証券の取得だけでなく処分にも関係します。
出典
- 国税庁 No.1478 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例帰国による課税の取消しと、その期限
- 国税庁 No.7456 国外財産調書の提出義務
- 日本年金機構 国民年金の任意加入の手続き