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マレーシアの e-Invoice 2026 — 免除は年商 RM 300万未満。ただし日系の子会社は対象になりやすい

2026-09-27 · 約 12 分 · e-Invoice,MyInvois,マレーシア法人,Sdn Bhd,法人税
マレーシアの e-Invoice 2026 — 免除は年商 RM 300万未満。ただし日系の子会社は対象になりやすい

マレーシアの e-Invoice(電子インボイス)は、免除の基準が段階的に引き上げられてきました。直近では2026年8月30日の改定で、年商 RM 1,000,000 未満だった免除の基準が RM 3,000,000(約1億円、1RM=33円換算)未満になっています。

ただし、この免除には例外があります。年商 RM 300万以上の法人株主・親会社・関連会社がいる場合は、自社の売上が小さくても免除されません。日本の親会社が出資している Sdn Bhd は、ここに当たる可能性が高い条件です。

この記事は、マレーシア内国歳入庁(LHDN/IRBM)の e-Invoice Guideline(第4.8版、2026年8月30日)、e-Invoice Specific Guideline(第4.9版、2026年9月7日)、FAQ(2026年9月4日更新)だけを根拠にしています。

結論:3つだけ押さえる

  1. 年商 RM 300万未満は免除。ただし親会社・法人株主・関連会社の年商が RM 300万以上なら免除されない
  2. 免除されない場合、実施日は 2026年7月1日(それ以降に開業した会社は開業日)
  3. 2026年1月・7月に対象となった事業者は 2027年12月31日まで猶予期間。月ごとの「まとめ請求(consolidated e-Invoice)」で足りる

e-Invoice とは

e-Invoice は、取引の内容を LHDN が決めた形式(XML または JSON)で作り、LHDN のシステム MyInvois に送って検証を受ける仕組みです。PDF や画像の請求書は e-Invoice になりません。

項目内容
送り方MyInvois Portal(ブラウザで1件ずつ・一括アップロード)か API(会計ソフトから自動送信)。併用も可
検証ほぼリアルタイム(通常2秒未満)。検証後に固有番号(Unique Identifier Number)が付く
相手への共有検証済みのデータ、または QR コード入りの見た目の請求書(PDF など)のどちらでもよい
通貨外貨建てでも発行できる
取り消し検証から 72時間以内なら取り消して再発行できる。それ以降はクレジットノート等で調整

いつから:実施スケジュール

実施日は、2022年度の年商(監査済み財務諸表の売上、監査がない場合は税務申告の売上)で決まっています。

2022年度の年商実施日猶予期間
RM 1億超2024年8月1日2025年1月31日まで
RM 2,500万超〜1億2025年1月1日2025年6月30日まで
RM 500万超〜2,500万2025年7月1日2025年12月31日まで
RM 300万以上〜500万2026年1月1日2027年12月31日まで
RM 300万未満で、免除の条件を満たさない(下の3ケース)2026年7月1日2027年12月31日まで
RM 300万未満で、免除の条件を満たす免除—

2022年度の年商が RM 300万未満の事業者と、2023年以降に開業した事業者は、次のように決まります(FAQ 問12〜14)。

一度対象になると、あとで年商が RM 300万を下回っても免除には戻りません。

免除されない3つのケース

ガイドライン第1.6.10項は、年商 RM 300万未満でも次の場合は免除しないと定めています。

ケース例
(a) 年商 RM 300万以上の法人株主(個人以外の株主)がいる日本の親会社が出資している
(b) 年商 RM 300万以上の持株会社の子会社であるグループ会社の100%子会社
(c) 年商 RM 300万以上の関連会社・合弁会社がある兄弟会社の1社が RM 300万を超えた

関連会社かどうかは、次のように判断されます(FAQ 問103)。

日本の親会社を持つ Sdn Bhd の場合

日系企業のマレーシア子会社は、ほとんどが日本の親会社の出資を受けています。親会社の年商が RM 300万(約1億円)以上なら、(a) か (b) に当たり、自社の売上がゼロに近くても 2026年7月1日から対象です(2026年7月以降に設立した会社は開業日から)。

ガイドラインの条文には、法人株主が国内法人か外国法人かの区別は書かれていません。FAQ の例はすべて国内の会社どうしのため、日本の親会社の扱いはマレーシアの税務代理人(Tax Agent)に確認してください。

一方、日本人の個人が100%出資している会社は、(a)〜(c) のどれにも当たらない限り、年商 RM 300万未満なら免除です。

発行のルール

発行のタイミング

原則として、いつ発行するかの決まりはありません(今の請求書と同じ運用でよい)。例外は次の4つです。

取引期限
まとめ請求(consolidated e-Invoice)月末から7日以内
海外からのサービスの購入(自己請求)支払いか請求書の受領の早いほうの翌月末
海外からの物品の輸入(自己請求)通関した月の翌々月末
海外から受け取る所得(受け取った側が発行)受け取った月の翌月末

買い手が発行する「自己請求(self-billed e-Invoice)」

通常は売り手が発行しますが、次の取引は買い手が自分で発行します(Specific Guideline 第8.3項)。

日系の子会社でいちばん当たりやすいのは、日本の親会社への支払いです。親会社は MyInvois を使わないため、マレーシア側が自己請求を発行します。

相手に税番号(TIN)がないとき

相手入力する番号
一般消費者(まとめ請求)EI00000000010
海外の買い手(外国人個人・外国法人)EI00000000020
海外の売り手EI00000000030
政府機関EI00000000040

猶予期間(2027年12月31日まで)

年商 RM 500万以下の区分で、2026年1月1日または7月1日に実施となった事業者は、2027年12月31日まで次の扱いが認められています(Specific Guideline 第16項)。

この期間は、まとめ請求(または自己請求のまとめ発行)をしていれば、LHDN は罰則の訴追をしません。逆に言えば、まとめ請求すら出していないと猶予の対象外です。

罰則と、出し忘れたときの救済

e-Invoice を発行しないことは、所得税法 120条(1)(d) の違反です。1件ごとに RM 200〜20,000 の罰金、6か月以下の禁錮、またはその両方の対象になります。

会計事務所に e-Invoice を任せていても、責任は会社(取締役)に残ります(FAQ 問30)。

出し忘れや誤りがあった場合は、特別自主開示プログラム(SVDP)が 2026年7月7日から2027年12月31日まで開かれています。このプログラムで開示した e-Invoice には、調査や罰則は行われません。ただし、開示した e-Invoice が要件を満たしていない場合や、不正・故意・過失がある場合は対象外です。

税制上の支援

支援内容対象年度
ESG 関連費用の損金算入中小企業が e-Invoice 用ソフトの開発で払ったコンサル料などを、年 RM 50,000 まで損金に算入YA2024〜2027
ICT 機器・ソフトの加速償却償却期間を3年から2年に短縮YA2024〜2027

よくある質問

Q. 年商 RM 300万未満なら、何もしなくてよいですか?

A. 免除の条件を満たしていれば、e-Invoice を発行する必要はありません。LHDN への申請も不要です。ただし、年商 RM 300万以上の法人株主・親会社・関連会社がいる場合は免除されません(ガイドライン第1.6.10項)。

Q. 日本の親会社がいるマレーシア法人は対象ですか?

A. 親会社の年商が RM 300万(約1億円)以上なら、自社の年商が小さくても免除されない可能性が高いです。条文は法人株主の国籍を区別していませんが、FAQ の例は国内の会社どうしのため、税務代理人に確認してください。

Q. すでに e-Invoice を発行していましたが、免除の対象でした。やめてよいですか?

A. やめてかまいません。LHDN の FAQ は、免除の条件を満たすならすぐに発行をやめてよく、申請も不要としています。任意で続けることもできます。

Q. 日本の取引先に請求するときも e-Invoice が必要ですか?

A. 必要です。e-Invoice は国外取引にも適用されます。相手に TIN がなければ「EI00000000020」を入力し、外貨建てで発行できます。

Q. 日本の親会社に業務委託料を払うときは?

A. マレーシアの会社が自己請求(self-billed e-Invoice)を発行します。期限は、支払いか請求書の受領の早いほうの翌月末です。

Q. 間違えて発行した場合は?

A. 検証から72時間以内なら取り消して再発行できます。それを過ぎたら、クレジットノート・デビットノート・返金ノートの e-Invoice で調整します。

Q. 発行しないとどうなりますか?

A. 所得税法 120条(1)(d) により、1件ごとに RM 200〜20,000 の罰金か6か月以下の禁錮、またはその両方の対象です。2026年1月・7月に対象となった事業者は、2027年12月31日までまとめ請求をしていれば訴追されません。

Q. 一度対象になったら、売上が落ちても続けるのですか?

A. 続けます。実施日が決まったあとは、年商が RM 300万を下回っても免除には戻りません(FAQ 問104)。

まとめ


出典(いずれも確認日 2026年9月27日)

e-Invoice の基準はたびたび改定されています。対応を決める前に、LHDN の最新の案内と税務代理人の意見を確認してください。


マレーシア法人の e-Invoice 対応をご相談いただけます。

Bangga は、Sdn Bhd の設立から会計・税務の窓口まで、日本語でサポートしています。対象になるかの判定だけでもお問い合わせください。

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